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『ザ・関シル』令和7年8月号のご紹介

令和7年8月25日に関シルから発行された『ザ・関シル』8月号の情報をお届けします。

貸与・販売選択制導入の効果検証 次期改定へ「対象種目拡大」の意向も調査

厚生労働省は先ごろ、介護報酬改定検証・研究委員会を開催し、2024 年度介護報酬改定の効果検証のための調査について議論しました。

全部で4つ行われる調査の中では、福祉用具貸与・販売選択制についても調べることになっています。ここでは事業者や保険者(市町村)にアンケートを行い、現在対象外の貸与種目についても選択制の対象とすることに対して、ニーズや意向を聞くこととなりました。調査結果や今後の審議次第では、次期27年改定で選択制の対象種目が拡大される可能性があります。

24年改定の審議報告では、今後の課題として「福祉用具の安全利用の促進、サービスの質の向上、給付の適正化の観点から、貸与と販売の選択制の導入やその他の見直しに係る効果・課題等について引き続き調査・検証を行い、その結果を踏まえ、必要な対応を検討していくべき」とされていました。

今回示された選択制についての調査では、事業所や保険者へのアンケートやヒアリング、介護保険総合データベース分析を行います。アンケートは全ての福祉用具貸与事業所と全保険者に加え、6000カ所の居宅介護支援事業所などが対象です。選択制の利用状況や導入に伴う対応、サービスの提供状況などを問う内容になっています。

注目は、現在対象外の貸与種目について追加するかどうか、今後検討するための設問があることです。福祉用具貸与事業所と居宅介護支援事業所は、購入を希望する利用者の声がある用具を貸与種目から選択し、その理由を記載します。

市町村は保険者の視点から、貸与と販売を選択できるようにした方が良いと考えられる種目を選び、理由を記載します。理由は、「利用者の自己負担額が抑えられるから」「修理交換の頻度が低いから」「要介護度に関わりなく長期利用が見込める用具だから」「利用者が軽度なので長期利用が見込めるから」「他人が使ったものに抵抗があると考えられるから」「その他(自由記述)」から選ぶ形になっています。

さらに保険者には、固定用スロープなど現行の選択制対象用具についても「貸与のみとすべき」「販売のみとすべき」などの意見を求める項目もあります。

現在対象の「固定用スロープ」「歩行器(歩行車除く)」「歩行補助杖(松葉杖除く)」は、
①要介護度に関係なく貸与可能
②比較的廉価
③希望小売価格をひと月の平均貸与価格で割って算出した「分岐月数」より長く利用している者の割合が相対的に高い(およそ4割程度以上)
④分岐月数よりも平均貸与月数が長いか、同等のもの
――という条件の下で定められましたが、こうした前提も変わる可能性があります。仮に対象種目が一気に拡大されれば、「原則貸与」からの実質的な転換となります。

日本福祉用具供給協会の調査では、選択制で購入を選択した利用者のうち13%は状態の変化などの理由により、半年後には購入した福祉用具を利用していませんでした。状態に応じて変更できる貸与サービスのメリットは大きいものがあります。

今後は8月下旬の介護給付費分科会に調査案を諮り、9月中旬以降に調査を開始する予定です。その結果により、来年から始まる27年度改定の議論の俎上に載せられる流れとなります。

関シルって?

関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。

関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。

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