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『ザ・関シル』令和7年6月号のご紹介

令和7年6月25日に関シルから発行された『ザ・関シル』6月号の情報をお届けします。

「介護報酬引き上げによる賃上げ」明記 政府「骨太の方針 2025」閣議決定

政府は6月13日、「経済財政運営と改革の基本方針 2025(骨太方針 2025)」を閣議決定しました。高齢者数がピークを迎える2040年を見据え、介護報酬引き上げや処遇改善、介護テクノロジーの普及などによる業務改善など、介護人材確保などに向けた方針も盛り込まれました。

介護従事者の賃金は、加算や交付金も合わせて改善が図られるものの他産業と比べてなお低く、離職率の高さや慢性的な人材不足を招いています。これに対し、医療や保育・福祉とともに、公定価格引上げなどによる処遇改善を進めると明記し、「賃上げ、経営安定、離職防止、人材確保がしっかり図られるよう、コストカット型からの転換を明確に図る必要がある」と示しました。ここでは、介護職員のこれまでの処遇改善の実態を検証し、25年末までに具体的な方針策定に向け検討します。

5月に介護関連16団体などが求めた、26年度の「期中改定」に向けた検討の実施や、それによる十分な賃上げ原資の確保がなされるか、注目されるところです。

介護分野では、今後さらに拡がる介護ニーズの地域差などに応じて人材・サービス確保などを検討する厚労省の「『2040年に向けたサービス提供体制等のあり方』検討会」を踏まえ、「中長期的な介護サービス提供体制の確保」の方向性を25年中にとりまとめると明記しました。

地域ごとのサービス需給差に応じた柔軟な対応、医介連携の強化、介護予防の推進、官民連携による介護保険外サービスの普及など、必要な取り組みを列挙しました。「介護テクノロジーの社会実装に向けた実証・導入・伴走支援による生産性向上」も位置づけられました。

また介護保険制度では、自己負担2割の判断基準見直しなど給付と負担のあり方について、25 年末までに結論を得るため検討するとしました。

8月から 老健・介護医療院の多床室に室料導入

8月から、老健施設と介護医療院、短期入所療養介護(予防含む)の多床室の居住費の基準費用額が、1日当たり260円引き上げられます。これまで徴収していなかった室料が導入されることによるものです。

引き上げの対象となるのは、以下①・②のいずれにも該当する場合です。

①「その他型」と「療養型」の老健の多床室と、「Ⅱ型」の介護医療院の多床室

②1人当たりの床面積が8平方メートル以上

8月からは、室料相当額控除として1日当たり26単位が基本報酬から減算されます。この部分を居住費(基準費用額)の増額で対応する形です。ただし、利用者負担第1~3段階の入所者については補足給付で対応し、利用者負担は増加させません。補足給付は、標準的な費用の額(基準費用額)と、所得に応じて設定される負担限度額との差額を、「特定入所者介護サービス費」として給付する仕組みです。

8月からの多床室の居住費の基準費用額は、老健・医療院では、室料を徴収する場合(今回の改定に該当)日額697円(月額2.1万円)、室料を徴収しない場合(変更なし)437円(同1.3万円)となります。なお特養等は、日額915円(同2.8万円)で据え置かれます。

利用者負担第1~3段階の入所者は、補足給付で対応するため、老健・医療院、特養等ともに、利用者の居住費の負担限度額は第1段階0円、第2~3段階日額430円(月額1.3万円)で変わりません。

24年報酬改定では、居住費(基準費用額)の引き上げは2回に分けて実施。前回の24年8月には、水光熱費分として1日当たり60円引き上げられました。

関シルって?

関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。

関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。

関シル公式サイトはこちらから