『ザ・関シル』令和7年11月号のご紹介
令和7年11月26日に関シルから発行された『ザ・関シル』11月号の情報をお届けします。
厚労省 福祉人材確保専門委員会 「人材確保プラットフォーム」制度化提言
厚生労働省の社会保障審議会・福祉人材確保専門委員会は11月12日、2040年に向けた介護人材確保の方向性をまとめた議論の整理を示しました。
2040年には、65歳以上の高齢者数がピークを迎えるとともに、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する見込みです。高齢化と人口減少のスピードは地域により大きく異なり、介護関係職種の有効求人倍率は全国平均4.02倍となっています。都道府県別では2~8倍台まで幅があり、人材確保の厳しさが際立っています。
同委員会は議論の整理で、こうした課題を乗り越えるために、自治体・ハローワーク・福祉人材センター・養成校・事業者などを束ねるプラットフォームの構築が重要だと指摘しました。
プラットフォームでは、各地域のデータ分析や課題抽出、関係者ネットワークづくりなどを一体で行います。市町村などの地域の課題に応じて「人材定着」「働きやすさ向上」「介護の魅力発信」などのテーマ別プロジェクトチームを設置し、PDCAを回しながら事業を推進します。
議論の整理を前に委員からは、「プラットフォームがしっかり機能して効果を発揮するためには、市町村の協力や地域医療介護総合確保基金をはじめとした補助金や基金などの国の財源と、柔軟に活用できるメニューの整備が重要」などの意見が出ていました。
処遇改善支援へ 26 年度に介護報酬を臨時改定
政府は11月21日、予算規模21.3兆円の総合経済対策を閣議決定しました。財源を裏付ける25年度補正予算案を現在開催中の臨時国会に提出し、成立を目指します。
同対策に位置づけられた「医療・介護等支援パッケージ」では、介護分野で
①処遇改善支援
②物価上昇対応支援
③テクノロジー導入支援、訪問介護・ケアマネジメントの提供体制の確保支援──を掲げました。
①の処遇改善支援では、「他職種と遜色のない処遇改善に向けて、2026年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」とし、来年度に臨時改定を行う方針を示しました。基本報酬の見直しを行うのか、処遇改善加算の拡充により対応するのかは現段階では不明ですが、年内には方針を示す予定です。さらに、その臨時改定の前に「介護従事者全般に月1万円の半年分の賃上げ」(21日、高市早苗首相記者会見)を行う方針で、実施方法など詳細はまもなく示される予定です。
介護事故予防ガイドライン 13 年ぶり見直し
厚生労働省はこのほど、「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」を発出しました。
2012年度に作成した「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」を改訂したものです。事故対策、原因分析、再発防止策を充実させ具体的な取組事例を追記しました。また、施設だけでなく訪問、通所サービスでの運用も想定した内容にまとめました。
同ガイドラインは、
①介護現場におけるリスクマネジメントの基本理念
②事故予防のための体制整備のあり方
③事故発生時の対応におけるポイント
④原因分析・再発防止、未然防止策の検討
⑤事業者に求められる義務と責任──で構成されています。②の体制整備では、新たに「未然防止のためのアセスメント」「多職種連携」「介護テクノロジーの活用」等の項目を追加しています。
© THE KANSAI SILVER SERVICE ASSOCIATION
関シルって?
関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。
関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。
