『ザ・関シル』令和6年8月号のご紹介
令和6年8月26日に関シルから発行された『ザ・関シル』8月号の情報をお届けします。
「福祉用具選定ガイドライン」2004 年の策定以来、初の見直し
厚労省は先ごろ、福祉用具貸与・特定福祉用具販売の種目ごとに「使用が想定しにくい状態像/要介護度」などをまとめた「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」の改訂版(QRコード)を公開しました。
同省「福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」のとりまとめで、見直しの必要性が指摘されたことを受け、2004年の策定から初の改訂作業が進められていました。
今回の見直しでは、各種目の「使用が想定しにくい状態像/要介護度」について、06 年から特殊寝台や車いすなどの種目で、要介護1以下への給付は原則として不可となっていることを踏まえ、その部分の整理が行われたほかは、大きな変更は加えられませんでした。
一方全種目共通で、用具の選定にあたり、医師やリハビリ専門職などに意見を求めることが望ましい症状例を提示しました。進行性疾患により状態の変化や悪化が起こりやすい場合、認知機能の低下や高次脳機能障害により用具の使用や操作が難しいと考えられる場合――などを例示しています。
また各種目には「留意点」の項目を追加しました。
▽選定について
▽医師・リハ専門職等に意見を求めることが望ましい例
▽自立を阻害しないための留意について――の各ポイントが示されています。
例えばレンタル手すりの「自立を阻害しないための留意」では、「歩行能力が変化(改善または悪化)した場合は、利用者の状態や環境に合った移動様式を確認し、歩行補助具等の導入も併せて検討する」と示されています。
医師・リハ専門職等への意見の確認
適切なケアマネジメントのために、福祉用具の必要性や対処方法について、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員が、医師やリハ専門職等の意見を求めることが望ましい具体例
- ▽進行性疾患(パーキンソン病、脊髄小脳変性症など)により状態の変化や悪化が起こりやすい場合
- ▽起立性低血圧等、血圧の変動の可能性がある場合
- ▽認知機能の低下や高次脳機能障害により用具の使用や操作が難しいと考えられる場合
- ▽関節に著しい拘縮や変形がある場合
- ▽著しい感覚障害がある場合
- ▽骨の脆弱性が疑われる場合
- ▽四肢に欠損がある場合
- ▽著しい筋力低下がある場合
- ▽筋緊張の亢進や低下、変動がある場合
- ▽重度の視覚障害の場合
- ▽全身等に痛みがある場合
- ▽からだが極端に大きい又小さい場合
- ▽皮膚の脆弱性が疑われる場合
- ▽浮腫など、循環障害が考えられる場合
- ▽転倒のリスクが高いと考えられる場合
- ▽嚥下障害がある場合
- ▽介護者に対する指導に留意が必要と考えられる場合等
特殊寝台の自立を阻害しないための留意」
- ▽急性期や終末期を除き、 ベッド上での生活時間が長くなると寝たきりのリスクを著しく増大させるため、 長座位から端座位へと動作を目標とした利用も検討し、 寝たきりにならないよう留意する
- ▽背部や脚部の操作を行った場合、 床ずれ防止のため背抜きや衣服のシワの修正を行う。また、 背上げの角度を大きく上げる場合は、腹部の圧迫やバイタルサインにも留意する
- ▽長時間の背上げ座位や頻繁な背上げ操作は、 床ずれを形成しやすくするため注意が必要
- ▽特殊寝台の電動機能(背上げ、 脚上げ、高さ調節)を日常的に利用せずにベッド上動作が自立している場合は、 貸与継続の必要性について検討する
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関シルって?
関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。
関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。