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『ザ・関シル』令和5年9月号のご紹介

令和5年9月22日に関シルから発行された『ザ・関シル』9月号の情報をお届けします。

厚労省「福祉用具あり方検討会」 貸与・販売の選択制導入を提案

厚生労働省の「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」が先ごろ開かれ、同省は貸与か販売を利用者が選ぶ選択制について検討を求めましたが、委員から慎重な意見もあり、報告書のとりまとめは次回以降に持ち越されました。

厚労省はこの日、選択制の対象種目・種類、選択制の対象者、貸与または販売後のモニタリング・メンテナンスのあり方の3点について検討を求めました。

「選択制の対象」には、給付の状況から購入した方が、自己負担が廉価になるケースが比較的多いとされる、固定用スロープ、歩行器(歩行車は除く)、単点づえ(ロフストランド・クラッチ等)、松葉杖、多点杖が考えられるとして、提示しました。手すりは選択制の対象から外されました。

同省の峰村浩司高齢者支援課長は、小野木孝二委員(日本福祉用具供給協会理事長)の質問に対し、選択制の対象となる「歩行器」には、歩行車は含まないと答えました。

「対象者の判断」では、一律に対象者を限定することは困難だとして限定しないこととしました。

「判断体制・プロセス」では、利用者が選択制の対象となる福祉用具を必要とする場合、
①利用者・家族等が貸与か販売かを選択する
②サービス担当者会議等でケアマネジャーまたは福祉用具専門相談員が提案し、利用者らの合意を得て決定する
③提案にあたっては、取得可能な「医学的な所見」や他の類似の「利用状況データ」等を活用する
④利用者の身体状況や利用状況の変化が想定される場合には貸与を提案する
⑤貸与が選択された場合も、6カ月ごとのサービス担当者会議等を通じて、必要な場合は貸与から販売に切り替える――という案が提示されました。

選択制対象の福祉用具を販売した場合の「販売後の確認やメンテナンス」は、専門相談員が
①福祉用具サービス計画における目標の達成状況を確認する
②必要な場合は使用方法の指導や修理等(メンテナンス)を努力義務とする
③利用者に対する商品不具合時の連絡先を情報提供する――としました。

「貸与を選択した場合のモニタリング」は、貸与を継続するかどうかをサービス担当者会議等で判断するために、6カ月ごとに1回以上のモニタリングを行い、使用方法や使用頻度などを記録し、利用者とケアマネジャーに交付するなどの仕組みが提示されました。

この選択制の提起に対して、委員からは導入への反対意見や業務負担増への懸念が相次ぎました。

岩元文雄委員(全国福祉用具専門相談員協会理事長)は、「介護保険制度は、身体状況や介護度の変化、用具の機能向上に応じて、適切な福祉用具を提供するために貸与を原則にしている。選択制の導入がこの適切な提供を阻害するおそれがある」と反対を表明しました。

また、田中紘太委員(マロー・サウンズ・カンパニー社長)は、「ケアマネジャーの業務負担が、確実に増えることは明白。何のためのサービス担当者会議なのか、自立支援のためのケアマネジメントから離れてしまう可能性がある」と、ケアマネジャーの立場から批判しました。

次回の同検討会は、10月下旬~11月上旬に開催される見込みで、その後とりまとめが介護給付費分科会へ報告されることになっています。

【厚労省が示した貸与・販売「選択制」の考え方】

▽対象者:一律に限定しない(※利用者・家族が、ケアマネジャーか福祉用具専門相談員の提案などをもとに選択する)

▽対象となる福祉用具:固定用スロープ、歩行器(歩行車は除く)、歩行補助つえ全般

関シルって?

関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。

関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。

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