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『ザ・関シル』令和5年7月号のご紹介

令和5年7月25日に関シルから発行された『ザ・関シル』7月号の情報をお届けします。

大規模型通所介護・リハの減算、見直し意見相次ぐ~厚労省 介護給付費分科会

厚生労働省は7月10日の社会保障審議会介護給付費分科会で、通所系・短期入所系サービスについて次期報酬改定に向けた現状と課題を整理しました。

現行、通所介護、通所リハビリの基本報酬は利用者数に応じて
①通常規模型
②大規模型(Ⅰ)
③大規模型(Ⅱ)――の3段階で、スケールメリットの観点から大規模事業所ほど報酬が低く設定されています。

例えば、通所介護7~8時間未満で要介護3の場合、1日の報酬は通常規模型896単位に対し大規模型(Ⅰ)857単位、大規模型(Ⅱ)826単位です。

委員からは、規模別報酬の廃止を求める意見が相次ぎました。東憲太郎委員(全国老人保健施設協会会長)は「大規模事業所ほど専門職の配置が充実し、重度者の受入れを積極的に行うなど、より質の高いサービスを提供している実態もある。一律の減算は見直すべき」と強調しました。松田晋哉委員(産業医科大学教授)は「骨太の方針でも『大規模化による経営安定化』が示されている。今の報酬のしくみは時代に逆行している」と述べました。

入浴介助加算(Ⅱ)算定1割

前回改定で入浴介助加算は1日50単位から40単位に減算されました。同時に、医師等が居宅で浴室環境や入浴動作を評価し、個別入浴計画を作成・実施した場合の同加算(Ⅱ)(通所55単位、通所リハ60単位)が新設されました。

今年3月の実績で、通所介護の入浴介助加算(Ⅰ)は9割以上の事業所が算定するも、加算(Ⅱ)はわずか1割強でした。算定が進まない現状に対し、「通所介護は中重度者の利用も多く、特殊浴槽も導入している。加算(Ⅱ)がなじまない」(稲葉雅之委員・民間介護事業推進委員会代表委員)などの意見が挙がりました。

2022年4月審査分で、通所介護の請求事業所数は4万3,392事業所(うち地域密着型1万8,947)で、6年間ほぼ横ばいで推移しています。通所介護の収支差率は21年度決算で1.0%(税引前・コロナ補助金含む)で、コロナ禍の利用控えなどが影響し、20年度から2.8ポイント低下しています。

2割負担対象拡大などの議論 年末に結論先送り~厚労省 介護保険部会

厚労省は7月10日に介護保険部会を開催し、「給付と負担」のテーマについて検討しました。

給付と負担では、利用料の2割負担者の対象拡大や第1号保険料の多段階化・標準乗率の見直しが焦点となっています。これらは、昨年末の介護保険部会のとりまとめで結論を出すはずでしたが、物価高騰などの状況を踏まえ、「今年夏までに結論を得ることとする」と異例の先送りがされました。

さらに、先月閣議決定された「骨太の方針 2023」では「介護保険料の上昇を抑えるため、利用者負担の一定以上所得(2割負担対象者)の範囲の取扱いなどについて検討を行い、年末までに結論を得る」と明記されました。

頭越しに検討期間が再延長されたことで、委員からは「遺憾だ」と事務局へ説明を求める声もありました。厚労省の日野力介護保険計画課長は、「物価高騰などを踏まえ、昨年末に『今年の夏までに結論を得る』という判断をした。さらに、その後春闘を含めて各所で賃上げの動向が活発で、介護分野でも次期改定でどうするかという議論が当然出てくる。そういった状況では、負担面の結論を先に出すことは難しく、報酬とセットで議論しなければならないという判断になった」と説明しました。

関シルって?

関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。

関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。

関シル公式サイトはこちらから