『ザ・関シル』令和4年7月号のご紹介
令和4年7月29日に関シルから発行された『ザ・関シル』7月号の情報をお届けします。
厚労省「貸与・販売種目のあり方検討会」中間とりまとめ案提示
厚生労働省の「第5回介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」が7月27日に開催され、「これまでの議論の整理(案)」が示されました。
整理案では、一定の条件のもとで、レンタルと販売の選択制導入を検討するという記述があり、委員からは「介護保険の福祉用具サービスは、レンタルが原則で販売は例外のはず」「選択性導入について、議論が煮詰まったとは考えていない」など、「選択制」ありきの取りまとめを行うのではなく、慎重な議論が必要だという意見が相次ぎました。
同じく案では、一定の試用期間を経た上で、その用具が利用者にフィットし、きちんと使えるものであるかどうかなど、有効性・安全性を検証したうえで、レンタルか販売(購入)を選択できる制度について、保険者や被保険者などに対し幅広くアンケート調査などを行いながら、検討を進める考えを示しました。なお、選択制の対象とする種目は、廉価で中長期の利用が見込まれる、歩行補助杖や固定式スロープなどを想定するとしました。
福祉用具貸与ガイドラインの見直しも
整理案ではこのほか、「介護保険における福祉用具の選定の判断基準の見直し」を挙げ、用具の種目ごとに使用が想定しにくい状態像を例示したガイドラインである、「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」(2004年策定)の見直しも提示され、委員からは概ね了承されました。
判断基準の主な見直し内容は、
▽策定当時は販売されていなかった類型の福祉用具製品の基準
▽疾病・疾患による分類の整理
▽身体機能の評価(特に転倒防止に関するアセスメントの充実)等による分類の整理
▽判断基準内容の細分化
▽チェックシート、評価指標の活用
▽用具別の取扱いに関する注意事項の明記
▽複数個支給における考え方の整理――などです。
同検討会では、次回以降の中間とりまとめを経て、2024年の介護保険見直しを議論する社会保障審議会介護保険部会や介護給付費分科会への提出が予定されています。
「議論の整理」より貸与・販売(購入)の選択制を可能とする場合の考え方(抜粋)
▽貸与の際のケアマネジャーや福祉用具専門相談員によるモニタリングやメンテナンスは、販売(購入)を選択した場合でも、貸与同様にその用具の使用期間において実施すべきではないか
▽利用者が貸与または販売の選択を検討する際、主治医等による医学的な意見を十分に踏まえることが重要ではないか
▽モニタリングやメンテナンスの頻度や方法は、その用具の所有権が利用者本人に移転することや、販売事業所での業務負担などを踏まえる必要があるのではないか
▽販売を選択した場合、利用者に一度に大きな負担が生じうる中で、本人にフィットし、きちんと使えるものであるかどうかなど、有効性・安全性を検証する期間が必要であることなどが考えられ、一定の試用期間を設けることを含めて検討すべきではないか
▽一定の貸与期間を経た後に、販売へ変更することも含めて検討すべきではないか
▽利用者の負担を考慮すると、まずは、廉価で、ある程度中長期の利用が実態上見受けられる用具(例:歩行補助つえ、固定用スロープ等)から、貸与・販売の選択を可能とすることが考えられるのではないか
▽販売の機会が広がることで、使用後の廃棄の増大や、そのコストが利用者や行政等に及ぶことについても考慮する必要があるのではないか
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関シルって?
関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。
関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。