『ザ・関シル』令和4年5月号のご紹介
令和4年5月30日に関シルから発行された『ザ・関シル』5月号の情報をお届けします。
貸与・販売あり方検討会「選定の判断基準」見直しなど求める声
厚生労働省は5月26日、「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」(座長=野口晴子・早稲田大学政治経済学学術院教授)を開催しました。
4回目となる今回は以下の2点の検討を行いました。
- [1]福祉用具貸与・特定福祉用具販売に係る適正化の方策
- [2]福祉用具貸与・販売に関する安全な利用の促進、サービスの質の向上等への対応等
[1]貸与・販売に係る適正化の方策
「介護保険における福祉用具の選定の判断基準」の見直しを求める意見が多く挙がりました。判断基準は、ケアマネジャーがケアプランに福祉用具を位置付けるなどの場合のガイドラインとして国が2004年に発出しました。介護保険の自立支援の趣旨にそぐわない給付を避けるため、用具別に使用が想定しにくい状態像を示しています。
例えば自走用標準型車いすでは、要支援者や「歩行がつかまらないでできる」状態などでは使用が想定しにくいとしています。この基準について、04年の策定以降に追加された福祉用具や給付対象種目の中でも、製品が多様化している実態を踏まえて見直しを行うべきとの声があがっています。
[2]安全な利用の促進、サービスの質の向上等への対応等
事故やヒヤリハットの情報を関係者で共有するプラットフォームの構築や、福祉用具専門相談員の更新研修の導入などを求める声が委員から寄せられました。
福祉用具専門相談員の更新研修は現在、義務化はされておらず、全国福祉用具専門相談員協会(ふくせん)が認定研修として独自に取り組んでいます。ふくせんでは、3年ごとの受講を念頭に、熟練度の向上の確認や最新の知見のキャッチアップを目的に実施しています。同協会の岩元文雄理事長のほか、渡邉愼一構成員(横浜市総合リハビリテーションセンター副センター長)などが、福祉用具専門相談員の更新制の必要性を訴えました。
厚労省介護保険部会地域包括ケアの深化・推進テーマに議論
厚生労働省は5月16日、社会保障審議会介護保険部会を開催しました。3月末にキックオフして以来2回目の開催で、今回から各論の議論に入りました。当面の論点は大きく分けて以下の4つ。
- [1]地域包括ケアシステムの更なる深化・推進
- [2]介護人材の確保、介護現場の生産性向上の推進
- [3]給付と負担
- [4]その他の課題
今回は[1]をテーマに意見が交わされました。主な意見は次の通りです。
[1]地域包括ケアシステムの更なる深化・推進
「離島・中山間地域では介護事業者が参入しにくく、従事者が確保できない。地理的状況を加味した処遇やサービス内容、提供体制など、一律でない柔軟な仕組みが必要」(杉浦裕之委員=全国町村会行政委員・東京都瑞穂町長)
「地域包括ケアは75歳以上の超高齢社会を想定しているが、議論の際に示されるデータが全て65歳以上のデータになっている。前期高齢者と75〜84歳、85歳以上と区分した予測データの提示を」(鈴木隆雄委員=桜美林大学大学院特任教授)
「介護予防を推進するためには、地域リハビリテーションを制度に位置付け活性化することが不可欠。廃用症候群は十分回復が期待でき、住民のリハビリ意識を高める地域リハビリによって重度化防止も期待できる。今後の2025年から2040年の我が国における大変厳しい時期を乗り越えるためにも、地域リハビリの普及啓発が重要だ」(江澤和彦委員=日本医師会常任理事)
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関シルって?
関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。
関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。