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『ザ・関シル』令和4年11月号のご紹介

令和4年11月28日に関シルから発行された『ザ・関シル』11月号の情報をお届けします。

厚労省・介護保険部会「訪問+通所」の新たな複合型など検討

厚生労働省は11月14日、社会保障審議会介護保険部会を開催し、「地域包括ケアシステムの更なる深化・推進」の「生活を支える介護サービス基盤の整備」について、次期制度改正に向けた検討の方向性を示しました。

生活を支える介護サービス基盤の整備は、
▽在宅サービスの基盤整備
▽ケアマネジメントの質の向上
▽在宅医療・介護連携――など13項目あります。
在宅サービスの基盤整備については、地域の実情に合わせ既存資源を活用したサービスの整備が重要だとし、例として訪問や通所を組合わせた複合型サービスの類型を提案しました。あわせて、定期巡回サービスと夜間対応型訪問介護など、機能が類似・重複しているサービスの将来的な統合整理も検討課題にあげました。

委員からは「定型的、画一的なサービスではなく、地域特性に応じた選択の幅が広がる」(座小田孝安・民間介護事業推進委員会代表委員)と推進する意見の一方で、「すでに多くの種類のサービスがある。対象の利用者を明確にしていく必要がある」(河本滋史・健康保険組合連合会専務理事)、「看護小規模多機能型居宅介護は包括報酬が高額。低所得者も利用しやすい報酬設定にすべきだ」(花俣ふみ代・認知症の人と家族の会常任理事)など、運用面への指摘もされました。

要介護1〜2の特養入所 厳格化or緩和?

「施設サービス等の基盤整備」では、要介護1〜2が特養を利用する「特例入所」について、地域によって取扱いにばらつきがあると報告され、主旨の明確化と適切な運用を図るとしました。これに対し、全国老人福祉施設協議会の小泉立志副会長は「特に中山間地域は在宅サービスの供給不足がある。要介護1〜2でも、認知症状が進行しているケースなどがあり、ニーズが高い」と特例入所の必要性を主張しました。花俣氏は深刻な訪問ヘルパー不足を訴え、特例入所の要件緩和あるいは「原則要介護3〜5」の撤廃を要望しました。厚労省では現在、3年ごとに行う特養待機者の実態調査を集計中で、近く同部会にも報告される予定です。

民間企業も財務諸表公表

「財務状況等の見える化」では、利用者のサービス選択に資する情報提供との観点から、介護サービス情報公表制度を用いた財務状況等の公表案を提示しました。職員一人当たりの賃金等も公表の対象に加えることも示されました。これにより、介護従事者等の処遇適正化、経営実態調査の補完、物価上昇や災害・感染症への支援策などに活用できるとしています。

社会福祉法人は財務状況等の公表がすでに義務化されていて、電子開示システムで確認できます。また、障害福祉サービスも情報公表制度で財務状況を公表することとなっています。今年6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2022」(骨太の方針)では「経営実態の透明化の観点から、医療法人・介護サービス事業者の経営状況に関する全国的な電子開示システム等を整備するとともに、処遇改善を進めるに際して費用の見える化などの促進策を講じる」と明記されています。

財務状況の公表については概ね肯定的な意見が集まりましたが、日本医師会常任理事の江澤和彦氏は「今の介護情報公表システム自体が利用者にほとんど見られていない」と指摘し、利用者に必要な情報の精査を求めました。また賃金については「小規模事業所は職員の個人情報の特定につながりかねない」と慎重な取扱いも求めました。日本労働組合総連合会生活福祉局長の小林司氏も「介護人材確保につながるよう、年齢・勤続年数に応じたキャリアアップが分かるデータを公表していくべき」と主張しました。

関シルって?

関シルとは公益社団法人 関西シルバーサービス協会のことです。

関シルは、高齢者や心身に障がいをお持ちの方々が健やかに暮らしていくために必要な福祉用具並びに福祉サービスを供給するための各種事業を行うことにより、社会福祉の向上と発展に寄与することを目的としています。

関シル公式サイトはこちらから